私たちの考え

発酵とは、変化の技術であると同時に、
関係性の技術でもあります。

時間、微生物、土地、そして人。
それぞれが単独で存在するのではなく、
相互に影響し合いながら、ひとつの結果を生み出します。

私たちは、醸造を製造業としてではなく、
小さな生態系の営みとして捉えています。

土地は分断できない

農業、醸造、食、廃棄、地域経済。
それらは本来、切り分けられるものではありません。

穀物は土から生まれ、
微生物は空気と水に宿り、
人はそれらを媒介として関係を結びます。

醸造だけを切り取ることはできない。
農だけを独立させることもできない。

伊八は、分業ではなく循環を前提に設計されています。

穀物を植えるという選択

この国の歴史は、穀物とともに築かれてきました。

しかし今日、多くの農地は縮小し、
地域の営みは静かに後退しています。

私たちは、衰退を前提にしません。

穀物を植えることは、
単なる生産行為ではなく、
土地との契約を結び直す行為だと考えています。

その穀物が発酵へと姿を変えるとき、
農と醸造は一本の線でつながります。

発酵は観察である

発酵は偶然ではありません。

温度、湿度、酵母、糖度、時間。
すべてが条件であり、変数です。

私たちは野生酵母を採取し、
地域の環境を発酵に取り込みます。

同時に、観察し、記録し、検証します。

伝統と科学は対立しません。
どちらも、自然を理解しようとする態度です。

実験を恐れず、
しかし敬意を失わない。

それが私たちの醸造姿勢です。

無駄は構造の問題である

農業や醸造の過程では、
多くの副産物が生まれます。

それを廃棄物と呼ぶか、
資源と呼ぶかは、設計の問題です。

搾りかす、酵母、熱、水。

私たちは、それらを循環の中に戻す設計を選びます。

ゼロウェイストは理想論ではなく、
構造上の前提です。

無駄を前提とする仕組みでは、
持続は成立しません。

小さな生態系としての伊八

伊八は、大規模な事業ではありません。

しかし、土地、穀物、発酵、廃棄、
そして人が結びつく小さな生態系です。

規模を拡張することよりも、
関係性の密度を高めること。

効率よりも、循環の強度を選ぶこと。

この丘に根を張り、
この谷の条件の中で醸す。

それが、
私たちが「未来を発酵させる」と言うときの意味です。

BE 房総族。

房総に根を張り、
内側に伝統を宿し、
未来を醸す。

静かであることと、
弱いことは違います。

小さくあることと、
未熟であることも違います。

私たちは、
構造を問い直しながら、
この谷で醸し続けます。